〒486-0821 愛知県春日井市神領町3丁目 5 - 16
院長紹介
有賀高志(ありが たかし)
1978年5月4日生まれ 愛知県春日井市出身
□保有資格 国家資格柔道整復師
足爪補正師 フットケア認定技術者
□趣味
・GOLF
月2回程度の自称アスリートゴルファー ベストスコア78
・草野球
現在は所属チーム無しですが一時は5チームを同時にはしごしてました
・トレーニング
最近流行りの24時間ジムに通って下半身中心に代謝量アップ目指してます
・買い物
スニーカーとキャップをこよなく愛してます。ストレス解消にアウトレットによく行きます
・家庭菜園
プランターで野菜作りにはまってます
この日を境に僕の人生が一変しました。
その日は、「ありが接骨院」の開院祝いということで、愛工大名電野球部の1つ上の先輩と春日井市の居酒屋で二人で飲んでいたのです。
鈴木さんは、ちょうど3杯目のビールを飲みほしたところで、、、
「有賀、高校3年間の野球生活はどうだった?」
「寮生活だったので、とても良い経験になりましたよ!」
「厳しい練習を乗り越えられたし・・」
「親のありがたみも分かりましたし・・」
「でも、最後の夏の大会で負けた時は、悔しくて涙が止まらなかったですね・・・・」
その瞬間、鈴木さんの顔から笑顔がなくなったように感じました。
「悔しくて泣いたんだーーー」
「じゃあ、全部出し切れなかったんだな!」
「どういう意味ですか?」
「やり残したことが沢山あったんじゃない?」
「ようするにサボってたって事だよ!」
僕は真剣に野球を3年間取り組んできたことを否定されているようで、少し頭にきました。
でも、、、心の中には、思い当たる節がいくつかありました。
なんだか、鈴木さんに心の中を覗かれているようで恥ずかしい気持ちになってしまったのです。
「鈴木さんは出し切ったんですか?」
「うん、何もかも出し切ったよ」
でも、僕は信じられませんでした。なぜなら、鈴木さんはどちらかといえばあまり練習をするタイプではなかったからです。
むしろ、、、人より練習しないような人だったのです。
ふと、十数年前の野球生活を思い出してみると、ひとつの出来事を思いだしました。
それは、夏の大会まであと1ヶ月を切った頃のことです。
夜中の1時ごろに僕は先輩の洗濯をしていると、汗だくの鈴木さんがバットを持って寮に帰ってきたのです。
鈴木さんは疲れきった様子でフラフラしていました。そして手を見るとボロボロになったテーピングから血がにじみ出ていたのです。
その時は、、、
「鈴木さんも練習するんだなー」
くらいに思って気にもしていなかったのですが、今になって、鈴木さんは毎日みんなが寝静まった頃に、1人で練習していたことに気づきました。
僕はもうひとつの出来事を思い出しました。
それは鈴木さんの時代に僕らと同じように夏の予選で敗退してしまった日のことです。
選手全員がロッカーで泣いている中、1人だけニコニコしている選手がいました。
鈴木さんです。
僕はようやく、鈴木さんが言っている
「やり残したことがあったんじゃない?」
ということが理解できました。
あのときの鈴木さんの姿を思い出すと
「俺は、やるだけやった。後悔は全くない」
と言っているかのように、たった1人ロッカーでニコニコしていたのです。
さらに、鈴木さんから意外な一言が、、、
鈴木さんがうれしくて泣くなんて、想像もできませんでした。
普段はおとなしくて、なかなか感情を表に出さない鈴木さんから、
『うれし涙』
なんて言葉が飛び出してきたからです。
「ないです」
「鈴木さんはあるんですか?」
「あるよ!」
「ひとつは野球で全国大会が決まったとき」
「もうひとつは、会社に入って目標を達成できたとき」
「でもね、コレって普通にやっていたら涙が出ないものだよ」
「がむしゃらにやらなきゃダメよ!」
「周りの人と同じではダメ、人の10倍努力しなきゃダメ」
うれし涙??
僕には想像できないものでしたが、妙に興味がありました。
そこで鈴木さんに『うれし涙』ってどんなものですか?と聞いてしまいました。
鈴木さんは言いました。
うれし涙とは、、、
「めちゃめちゃがんばった人が、目標や夢を達成したときに出る涙」
「その涙は自然と流れてくる、そして止まらない」
「その瞬間、体が動かなくなってしまう。理由は分からない」
と、教えてくれました。
鈴木さんからこんな提案がありました。
「ちょうど、接骨院を開院するんだから、とことんがんばってみたら。」
「とりあえず、3年間めちゃめちゃ頑張れよ!」
「それができたら、涙なんて関係なく、ものすごく良い経験になるから」
「ちょうど良いから、ココで決めようよ!」
僕は、すぐに鈴木さんにこう言いました。
「お客さんのための治療家になりたいです。」
「周りには自分のことしか考えていない治療家が多いので、、、」
「お客さんのための治療家を貫き通したいです。」
「どんなことがあっても、お客さんの為を想って治療をします。」
僕は人生で初めて男の約束をしました。
「お客さんのための治療家としてがむしゃらに頑張る」
そして心に誓いました。
どんなことがあってもこれだけは貫き通すと。
僕はあれからずっと鈴木さんとの約束を守ってきました。
でも、正直に言うと、初めのころは大変でした。何よりお客さんに対して、治療はもちろんお話しする内容まで、精神を集中しているので、夜はぐったりしてしまいます。
気が張り詰めていた状態が一気に開放されたかと思うと、疲れが一気に襲ってくるのです。
でもそんな時は、あの日に鈴木さんと約束した、
「お客さんのための治療家としてがむしゃらに頑張る」
この言葉を思い出していました。
鈴木さんはつらいときが来たら
「今つらいのは過去が楽だったから」
ってことを再確認しろ!と言われていました。
頭の中で「今つらいのは・・・」と考えると不思議と体中の疲れが吹っ飛んで
「明日からも頑張るぞ」
という気持ちになれたのです。
開院から2年半くらいたった頃に1通の手紙が届きました。
僕宛でした。
今時珍しく茶封筒に切手を貼った昔ながらの手紙です。
よぼよぼの字で
「ありが院長へ」
と書いてあったので、なんとなく親近感が沸いて、お昼の食事休憩に読もうと思って机にポンと置いたのです。
そして午前の診察もおわり、食事の用意をしていると、ふと手紙のことを思い出したので、手紙をとりに行き、ご飯を食べながら読むことにしました。
封筒を開けました。
それはご高齢の方からのお礼の手紙でした。
感謝の言葉がたくさんありました。僕はうれしく思い、
「あー頑張ってきてよかったなー」
と思いながら、手紙を読み進めました。
本当に感動しました。
「今までやってきたことが間違っていなかった」
とも思いました。
手紙を読んでいると、自然と今までつらかったことが頭の中に浮かんできます。
いろいろ苦労してきたことが思い出されました。
夢中で頑張ってきたことを思い出しました。
自分の考えを曲げずにやってきたことを思い出しました。
めちゃめちゃ頑張ってきたことを思い出しました。
手紙を半分読み進めたくらいです、僕はほほを伝う何かに気づきました。
涙です。
とまらないほどの大量の涙です。
鼻水もたくさん出てきました。
手も震えていました。
呼吸も不安定になっていました。
何なんでしょうか?
コレが『うれし涙』なんでしょうか?
理由は分かりません。でも涙はご飯にどんどん落ちていきます。
そして僕は、、、
手紙をくれた患者さんにでしょうか?
自分にでしょうか?
鈴木さんにでしょうか?
それとも、今まで来てくれた患者さんにでしょうか?
誰に対してかも分かりませんが、、、
自然と口からこんな言葉が出てきました。
「ありがとうございます」